「おれと碧が一番の友だちになって1年近くが経った おれたちは6年生になってた」
そうだ…それは確かにわたしの記憶の曖昧なモヤモヤがかかる時期と一致していた
「6年生の夏を前におれは親の仕事の都合でまた転校することになった それを碧に打ち明けた時、おれたちの関係が変わったんだ…」
その言葉を聞いた時、頭が、胸が痛くなった
思わずわたしはつくえの上に顔を伏していた
「おい、海野、どうした!? 大丈夫か!?」
「な、なんでもない… 話し続けて…」
なにかが開きそうな、でもそれは開いてはいけない記憶のような… それ以上に知りたかった
大空くんはここから話すことが重要なことなんだと前置きしながら話しを続けた
「おれと碧、お互いもしかしたら気づいてたかもしれない淡い想いが おれの転校を機に一気に表面化してきてしまった」
「それは、つまり…」
そこまで言って大空くんは言葉に詰まる
あからさまに次の言葉を躊躇している
顔を赤くして、さっきまでの勢いが完全になくなってた
「ねえ、ちゃんと教えて」
苦しく動悸が早くなってきてるのはわたしも同じだった 結果はどうあれわたしは自分の話だと思って聞いていたからだ
「うん、わかってる… つまりおれと碧《あお》は…、お互いのことが【好き】になってた…ずっと友情だと思ってたもんは いつの頃から【恋心】に変わってたんだ」
知らない、そんな記憶知らない、なんならあるわけない…だってホントにそんなことあったら、大空くんのこと好きになってたら… 忘れるわけないじゃん…
好きになった人のこと、恋したこと、忘れるわけないじゃん… ハイ、別人決定だよ わたしじゃない
「ごめん、やっぱわたしじゃないよ、その人」
痛む頭や胸、激しい動悸ら全部が無駄に思えてきてた
こんな思いまでして聞いたことが無意味だった
「おれの引っ越しの前々日におれたちは二人で最後に遊ぶ約束をしていた お互いの気持ちは知ってたし通じ合ってた」
わたしの言葉など無視するかのように話しを続ける大空くん ここまで話したのなら最後まで聞けってことなんだろう



