「相変わらず、すげぇな…
お前の見物客。」
カレーパンをかじりながら、
ツレの恭平が、マジマジと俺を取り囲む女たちを眺めていた。
ここは、高校の食堂。
昼飯を食っている俺の姿を、
周りの席に取り囲むように座る女たちが、
俺をチラチラと見ている。
「あぁー、飯食ったきしねぇ。
なんか、すげぇ監視されてる気分。」
俺は、そう嘆きつつも、
持っている焼きそばパンを渋々、口に運ぶ。
「なんか、お前といると、
俺も人気者になった気分。」
「バーカ。」
つか、俺の周りに、なぜ女は集まるのだろう。
俺にどんな魅力を感じるんだ?
でも、こんな風に、俺の周りを取り巻く奴らは、
俺のことを口を揃えて言うんだ。
“カッコイイ”って、
はぁ?どこが…
言われるたびに、そう思ってた。
カッコイイって何?
どんな基準で言ってんの?
意味分かんねぇよ。
いつしか、この“カッコイイ”って言葉に嫌気がさしてきていた。
「なんで、俺が好きなわけ?
どうせ俺の顔が好きなんだろ?」
付き合っている女にも、こんなことを口走るようにまでなった。
見た目で判断されるのが一番嫌いだ。
どうせ、俺を好んで近づいてくる女は俺の見た目しか見てないんだ。
そんなことしか考えられなくなって、
いつしか、女に対して冷たく接するようになっていた。
それで試していたんだ。
俺の見た目だけに惚れているのか、
それとも、俺の全てに惚れているのかを…

