痺れる愛のピースサイン


「さっき、、、彼氏が、若い子と一緒に、、、手を繋いで歩いてるのが、見えた。」

気付けば、わたしは泣きながら真っ直ぐ前を見つめ、そう言っていた。

真っ直ぐ見つめるその先には、中学生くらいのカップルが公園のベンチに並んで座り、幸せそうに笑い合いながら会話しているのが見えた。

「えっ?」

わたしの言葉に驚く颯生。

わたしは涙を流しながら「わたし、、、馬鹿だよね。"幸せ"だなんて見栄張って、本当は、、、全然幸せなんかじゃないのに、虚しい毎日を送ってるだけなのに、彼氏に何も言えなくて、、、。ただ、利用されてるだけで、上辺だけの彼女なの分かってるのに、、、わたし、何やってんだろ。」と自分に対して馬鹿にして笑った。

すると颯生は、静かにわたしの言葉を呑み込んでくれ「このまま、帰れるか?同棲してるんだろ?」と言った。

わたしは颯生の言葉に涙を拭いながら頷くと、「大丈夫。今日は、、、ちゃんと話し合おうと思う。」と答え、それに対し颯生は「そっか、分かった。でも、もし、、、もし何かあったら、ここに来て。」と、ある場所を指差したのだ。

颯生の指差す先にあったのは、"桜レジデンス"と書かれた公園のすぐ側にあるマンションで「あのマンションの702号室にいるから。」と颯生は言った。

その後、わたしは颯生に自宅まで送ってもらい、車から降りると「また明日ね。」と手を振って別れた。

今日は、、、ちゃんと話そう。
健人に自分の気持ちをぶつけよう。

わたしはそう決意しながら、健人と同棲している部屋へと入っていき、いつも通り洗濯をし、ご飯を作りながら健人の帰りを待った。

いつも19時に仕事が終わり、19時半には帰宅する健人。

その健人は、今日もいつも通り仕事へ行き、仕事から帰って来たかのように「ただいま。」と19時40分頃に帰宅して来たのだった。