産まれた時に臍の緒が首に二巻していたらしいが、問題なく産まれてきてくれた我が子は男の子で、体重は2897gの身長は50cm。
名前は"奇跡"(きせき)と名付けた。
そして、奇跡を愛おしそうに抱く颯生の姿を見て、わたしは泣きそうになった。
血の繋がった我が子ではないのに、まるで本当の自分の子のように抱き、話し掛ける颯生の姿に、わたしは感謝をすると共に「この人で良かった。」と思うのだった。
それから退院すると、滋院長の配慮もあり、研修医である立場でありながら、颯生に一ヵ月の育休を取得させてくれたのだ。
颯生は、出来るだけわたしの身体を休ませてくれ、家事育児を積極的に行ってくれて、とても助かった。
奇跡が泣くと「おぉ〜、どうしたぁ?お腹空いたか?」と優しく話し掛け抱き上げたり、ミルクを飲ませたあとのゲップの出させ方は、わたしよりも上手だし、そのまま寝かしつけてくれたりもした。
その後、一ヵ月健診があり、母子ともに健康で健診も終わり、少しずつ日光浴をさせることが出来るようになった為、天気が良い日はマンションの目の前にある公園へベビーカーに乗せて、三人で散歩に出掛けた。
わたしがベンチに座ると、颯生は奇跡を抱き上げ、横抱きしながら「ほら、奇跡〜。風が気持ちいいなぁ!空も綺麗だぞ〜!」と言い、奇跡に青空を見せていた。
その姿はわたしにとってはとても尊くて、愛しくて、涙が出るほど幸せだった。
すると、颯生はふとこちらを向き、笑顔を見せると、奇跡を横抱きしたまま、わたしに裏ピースをした。
そして、わたしも颯生に向けて裏ピースをする。
いつまでも変わらないあなたへの気持ち。
いつまでも変わらない、あなたとわたしだけの裏ピース。
それは、"愛してる"のサインだ。
END



