痺れる愛のピースサイン


「これから休憩?」

久しぶり過ぎるせいか、どこかぎこちなくわたしにそう訊く颯生。

わたしも恥ずかしくて目が合わせられず、俯き気味に「うん。」と返事をした。

「俺も休憩なんだけど、ちょっと話さない?」

颯生にそう誘われ、わたしはコクリと頷くと、わたしたちは裏口から中庭に出て、空いていたベンチに微妙な距離を取り腰を掛けた。

「、、、元気してた?」

そう話し出したのは、颯生の方からだった。

「うん、元気だよ。颯生は?」
「俺もこの通り元気。」
「それなら良かった。」

お互い照れくささがあり、なかなか話が続かず、顔を見合わせては照れ笑いを浮かべる。

高校を卒業してから颯生が医大に進学したのは知っていたが、まさか産科を選んでいたなんて意外で少し驚きつつも、久しぶりの再会にわたしはずっと蓋をし続けてきた颯生への想いが溢れ出してきてしまいそうになった。

でも、駄目だ。
今、わたしには交際している恋人がいるんだから。

「和花、、、今、彼氏は?」
「、、、いるよ。二つ年上の会社員の人で、同棲してる。」
「そっか、そうなんだ、、、。」
「颯生は?彼女、いるでしょ?」

わたしがそう訊くと、颯生は少し悲しそうに微笑み「何で"いるでしょ?"って決め付けてんだよ。」と言い、それから「いないよ。和花と別れてから、、、誰とも付き合ってない。」と言いながら、青空を流れてゆく雲を見上げたのだった。