すると、「ちょっと失礼。」とわたしの右側から声がして、ふと振り向くと、そこには自分の生ビールのジョッキと共に移動して来た颯生の姿があり、わたしの右隣に腰を下ろした。
「あれ、モテモテの玄葉先生がどうしたのかな?」
テーブルに頬杖をつきながら宙先生が言う。
それに対し、颯生は「ちょっと席替えですよ。せっかく歓迎会を開いていただいたんで、色んな人と話したいじゃないですか。」と言った。
「おぉ、なるほどね。で、俺と大崎さんの会話に入りたいってことかな?」
「そうゆうことです!」
颯生がこっちに移動して来たことで、他の助産師や看護士たちは不満そうな表情でこちらを見ていた。
「今、大崎さんにどうして産科医になったのか訊かれてたんだ。」
「そうだったんですね!」
「俺は、まぁ、親父が院長だから必然的にって答えたんだけど、玄葉先生はどうして産科医を選んだのかな?君なら、医師じゃなくても他に選択肢が色々ありそうだけど。別に親が医療関係者とかじゃないんだろ?」
わたしを間に挟め、会話をする宙先生と颯生。
颯生は宙先生からの問いに「はい、親は医療関係者ではありません。普通の公務員です。」と答えた。
「じゃあ、なぜ?」
宙先生は落ち着いた様子を崩さず、頬杖をついたまま颯生にそう言った。
すると、颯生は「実は、」と産科医を選んだ理由を話し始めたのだ。



