「まぁ、そうだよね。ありゃ、大変そうだ。」
そう言って、宙先生は颯生の方を見ながらグビッとジョッキの生ビールを飲んだ。
「あんなイケメンいるんだなぁ。何で産科医なんて選んだんだろ。俺なら、あんなイケメンで高身長だったら、モデルとかするけどな。」
宙先生はそう言いながら笑っていた。
「宙先生は、やっぱり、、、院長が産科医だから、同じ道を選ばれたんですか?」
わたしがそう訊くと、宙先生はテーブルに頬杖をつきながら「そうだね。」と答えた。
「やっぱり必然とそうなるよね。親が医療関係者だったら、子どもはなぜか同じ道を辿らなくちゃいけないことがほとんどだ。」
「それは、、、医療関係以外に選択肢がない、ということですか?」
「んー、全員が全員ではないと思うよ?親を見て育って、憧れからなる場合もあるだろうし、逆に俺みたいにもうレールが敷かれている場合もある。」
わたしよりも確か7歳上で33歳の宙先生は、落ち着き冷静にそう答えた。
「でも、、、宙先生は凄いですよね。いくら、レールが敷かれているからって、簡単になれる職種ではないじゃないですか。」
「、、、大崎さんは、やっぱり他の人とは言うことが違うね。」
「え、そうですか?」
「うん。だって、今の言葉は、、、俺の苦労と努力を評価してくれたように聞こえたから。大体の人は、"いいですよね〜"とか"次期院長なんで凄いじゃないですか!"とか、、、ただ、"次期院長"ってところにしかフォーカスしないことしか言ってこないから。」
宙先生はそう言うと、頬杖をついたままわたしを見つめ「俺、大崎さんのそうゆうとこ好きだよ。」と言った。
ついつい"好き"という言葉に反応してしまうわたし。
いや、何をわたしはドキッとしてしまってるんだ。
"好き"には色んな好きがある。
今の宙先生の"好き"には、特別な意味なんてあるわけがないんだから。



