痺れる愛のピースサイン


その日から、わたしは新しい家が見つかるまで颯生の家にお世話になることになり、そして同じベッドで眠ることになった。

「枕使っていいよ。俺、クッション枕代わりにするから。」
「え、わたしがクッション使うよ。」
「いや、いいって!和花が枕使って!」
「颯生の枕なんだから、颯生が!」

なんて、わたしたちはそんな譲り合うような言い合いばかりをして、結局は笑い合って、「じゃあ、毎日交代で使おう。」という事で収まり、初めて同じベッドで横になった日はお互いにあまり眠れなかった。

それは悪い意味ではなくて、久しぶりのこそばゆい感覚と、颯生への気持ちの蓋が開いてしまったが為にドキドキして眠れなかったのだ。

隣に好きな人が居る。

それがこんなにもドキドキして、気持ちが温かくなって、何とも言えないくすぐられてるような、あの頃の"恋"と呼ばれる感覚が蘇るように湧き上がってきたことに、わたしは消えかかっていた感情を思い出せた気がしたのだった。


次の日、わたしは急遽午前中だけ半休を取り、眼鏡を買いにいくことにした。

「じゃあ、先に出勤してるな!」

そう言って、先に家を出ようとする颯生にわたしは「うん、いってらっしゃい!」と言うと、颯生はぼやける視界の中でも分かる程の笑みを浮かべ、「行ってきます!」と家を出た。

と思えば一度戻って来て「忘れてた!」と、わたしにスペアの家の鍵を渡してくれた。

「今度こそ、行ってきます!」
「いってらっしゃい。」
「じゃあ、あとで!」

そうやって手を振り颯生を見送ると、ただの居候の身なのだが、何だか同棲している気分になり、胸の内がキュッと締め付けれるような感じがしたのだった。