すると、米原主任がベンチの方に戻ってきて、「放置状態でごめんな。」と言いながら、ベンチに腰を下ろした。
「いえ、大丈夫です。それより、今は女の子も男の子に混ざってサッカーする時代なんですね。ビックリしました。」
わたしがそう言うと、米原主任は「あぁ、莉乃な。あの子の兄ちゃんは去年までキャプテンやってたんだ。」と言った。
「へぇ〜、そうなんですね。今のキャプテンは、さっき声掛けしてた子ですか?」
「そう。今はみんなジャージ着てるから分からないけど、さっき声掛けしてたのが今のキャプテンの健琉で背番号は10番。」
「あ!背番号10番!米原主任もだったんですよね?」
「あぁ。背番号に10番を背負えるのは、選ばれた人間だけ。重たい背番号なんだよ。」
米原主任はそう言うと、"アップ"をしている子どもたちを見つめていた。
そうなんだ、背番号10番って凄いんだ。
重たい背番号かぁ、、、
その後、"アップ"が終わると米原主任は子どもたちを集めミーティングをし始めた。
「今日は赤井監督が風邪で休みだから、俺しかいない。そして、相手チームだが、勿論10番にも気をつけなきゃいけないが、8番にも気を付けろ。8番は宮木がマークな。」
「はい!」
「今日のチームは勝てない相手じゃない。いつも通りやればいいだけだ。健琉、声出ししっかりな。」
「はい!」
「よし、行くぞ。」
そう言って、円陣を組む米原主任と子どもたち。
「今日も勝って、準決勝行くぞ。行くぞぉー!!!」
「おーう!!!」
そして、子どもたちはグラウンドとベンチの控えと分かれて、それぞれの配置についた。



