Love And Vivi.


グラウンドには、控えが座るためのベンチが置いてあり、米原主任はその横にキャンプ用の折りたたみ椅子を広げて設置してくれ、わたしに「ここ座ってて。」と言い、相手チーム側の控えベンチの方に歩いて行った。

わたしは米原主任が用意してくれた椅子に腰を掛けると、何だが緊張してきてしまった。

わたし、絶対場違いだ、、、

その間、米原主任は相手側の監督なのかコーチなのか、、、よく分からないが、挨拶をしてからこちらに戻ってきた。

それから間もなく、次々と生徒がやってきて、体育会系の感じで元気よく「おはようございます!」と米原主任に挨拶をし、校舎のそばにリュックなどを置くと、何やらボールを出したり、色々と準備を始めていった。

そして当然、生徒たちには"あれ、誰?"という声が聞こえてきそうな程にチラチラと見られ、それに気付いた米原主任は「あ、今日、俺の知り合いが見学に来てるから。お前ら、かっこ悪いとこ見せんなよ。」と言っていた。

「米原コーチの彼女っすかぁ?」

なんてことを言う生徒がいたが、米原主任は「ちげーよ!」と言いながら、その生徒と戯れ合い、その光景が何だが微笑ましかった。

米原主任って、きっとサッカーだけじゃなくて、子どもも好きなんだろうなぁ。

じゃないと、中学校のサッカーコーチなんてやらないよね。

そうしているうちに、「アップするぞー!」とある生徒がみんなに声を掛け、グラウンドに生徒たちが並び、声を出しながら準備体操のように身体を動かし始めた。

あの声掛けをした子がキャプテンとかなのかなぁ?

そんなことを思いながら"アップ"をする生徒たちを見ていると、男子たちの中に混ざり、一人だけ女の子がいることに気付く。

え、女の子?今どきは男子に混ざって女の子もサッカーする時代なんだ。

わたしの時は女子でサッカー部入ってる子なんて居なかったよなぁ。

そのことにわたしは時代を感じさせられたのだった。