Love And Vivi.


すると、わたしの質問に米原主任はハハッと笑うと「サッカー知らないなら、背番号10番って言われても分かるわけないよな。」と言った。

しかし、それが何だか悔しくて、わたしが「サッカーについて教えてください!」と言うと、米原主任は嬉しそうに口角を上げ「じゃあ、来週の試合観に来る?口で教えるのは難しいから、観せた方が説明しやすい。」と言い、わたしは次の週の土曜日にあるという、米原主任がコーチをしている中学校の試合を見に行くことになったのだった。

その日から、わたしは米原主任と何だかんだ社内でも話すようになった。

そうすると、周りから視線が集まるようになった。

なぜなら、社内で"クールなイケメン主任"と有名な米原主任と普通に話せる人物は、上層部以外に居なかったからだ。

それが、課も違うただの秘書課のわたしが普通に米原主任と話せるなんて、驚かれて当然なのだが、、、その視線を浴びながらの会話は、とても居心地が悪かった。

しかし、視線が集まることに慣れている米原主任は何も気にしていない様子で、さすがだなぁと感心してしまったのだった。


「夏梅さーん、ちょっと疲れたから、息抜きの相手して〜。」

そう言ったのは、今さっきまで大量の資料に目を通していた金子社長。

金子社長は年配の社長で、呆け防止の為にと息抜き代わりに、こうしてわたしをオセロの相手として誘ってくるのだ。

わたしは「はい、いつものですね。」と言うと、デスクの引き出しからオセロを取り出し、接待用のテーブルに置き、金子社長と対面でソファーに腰を掛けた。

「今日は夏梅さんに勝たないとなぁ。」
「わたしも手加減しませんよ〜!」

そう言いながら始まるオセロ。

金子社長は、代表取締役社長で偉い立場の人なのに、気さくで話しやすく、優しいお方だ。

それもあり、わたしは社長秘書ではあるが、社長との信頼関係も築けていて、やり甲斐のある仕事をさせてもらえているのだ。