「いやいや、、、彼氏は作っても一人なのが当たり前じゃない?というか、わたし今仕事が楽しいから、彼氏作る気ないし。」
わたしがそう言って珈琲に口をつけると、母は「そう言ったって、あんたもう30よ?このままじゃ、あっという間に40になって、婚期逃しちゃうかもしれないじゃない!」とわたしを必死に説得しようとしていた。
「んー、でも別に一人なら一人でいいし。」
「えぇ〜、お母さん、孫の顔が見たかったなぁ〜。」
「出た出た。"孫の顔が見たい"作戦。」
「とりあえず!明日の婚活パーティーには行ってね!」
「やだよ。キャンセルしてよ。」
「前日にキャンセルすると、キャンセル料かかるのよ。だから、ね?行くだけ行ってみて、ダメだったならダメでいいから!」
前日に呼び出したのは、キャンセル料がかかるから強制的に行かせる為だったのか。
わたしは「はぁ、、、」と溜息をつくと、渋々「わかったよ。明日だけね?」と言い、仕方なく人生初の婚活パーティーとやらに行くことになってしまったのだった。
次の日、わたしは母に言われた通り婚活パーティーに行く準備をしていた。
服装って自由だよね?
まさか、ドレスとかじゃなくていいよね?
そんなことを考えながら、それなりにお洒落をして、母が言っていた場所へ14時までに間に合うように向かった。
会場はあるホテルの一室を借りて行われるようで、受付を済ませてから中へ入れるようになっていた。
そして会場に入ると、意外と人数が多くて驚くわたし。
何だか立食パーティーみたいな感じだなぁ。
そう思いながら、わたしは会場の端の方に並んでいる椅子に座って、婚活パーティーが始まるのを待つことにした。
わたし以外の人たちは、既にお互いに気の合いそうな人を見つけて話をし始めたりしている。
みんな出会いが目的で来てるんだもんね。
わたしなんかと違って、みんな気合い入ってるなぁ。
そう思い、自分だけが浮いていると思いきや、、、
わたしが座ろうとしていた椅子の一番角の壁際に一人の男性が座っていることに気付いた。
あの人もわたしと同じ感じの人なのかなぁ、、、って、、、
ある?何か、見たことがあるような、、、
そう思いながら、チラッとその男性を見てみると、同じ職場で総務課主任の米原薫さんに似ている気がした。



