「レセプションのことなんだけど。」
なんだレセプションの話か……なんて思っていない。
「ホテルの場所はわかる?」
「あそこですよね。」
私は線路の向こうにあるホテルを指差した。
「そう。会場はいつも8階だけど、違う時もあるから当日ロビーで看板みたいなやつ見るといいよ。」
「わかりました。」
「会場の中は、結婚式の披露宴みたいな感じになってる。テーブルがいくつか並んでて……椅子はないんだけど。途中で料理が出て、会場の外にはウェルカムドリンクもある。」
なんだかワクワクしてきた。
「服装はサンチェス=ドマーニですよね?靴とバッグは持っていないんですが……」
「新作のワンピースは着るの?」
「はい。服はそれにしようかなって思ってます。」
「服がサンチェス=ドマーニなら、それ以外はなんでも良いよ。揃えていない人も多いから。」
サンチェス=ドマーニのレセプションだから、全員がバチバチの全身コーデで来るのかと思った。
「他に気になることはある?」
「えっと……」
会場で佐藤さんと会えますかなんて聞いたらだめだろうか。もしかして、佐藤さんは別の人と待ち合わせをしているのだろうか。
「宮島さん、ちょっと見せて……」
(なになに!?なんなのっ!?)
突然佐藤さんの顔が近づいてきて、心臓が飛び出しそうになった。
「イヤリングなんだね。」
「あ、はい……そうなんです。ピアス開けるのは怖くて……」
(ん?この香りは……)
「サンチェス=ドマーニのイヤリングって少ないよね。」
(Citrus D’amourだ!)
佐藤さんからほんのり香るのはサンチェス=ドマーニの新しく発売された香水Citrus D’amourは、簡単に買える物ではなかった。佐藤さんは新作のスーツを買って私のペンダントを買って、さらに香水まで買ってしまう。これがレセプションに招待される上客というものか。羨ましい!
「去年の秋に出たやつだよね。すぐ売り切れたやつ。」
「そうなんですよ。よく知ってますね!」
「アクセサリーは欲しいと思ったら買わないとすぐ売り切れちゃうんだよね。」
そうなのだ。新作のワンピースとお揃いのペンダントも、佐藤さんが買ってくれなかったら逃していただろう。
「佐藤さん、この前は本当にありがとうございました。」
「いつでも言って。宮島さんにならなんでも買ってあげる。」
悪魔の声なのか、天使の声なのかわからない。
「当日は、会場で待ち合わせようか。会場の中にあるテーブルに番号がついてるんだけど、壁際の後ろから数えて3番目の16番テーブル。その辺りにいて。」
「わかりました。」
「じゃあね。今週は多分会えないと思うから当日ね。」
「はい。体に気をつけてください。」
「ありがとう!」
佐藤さんに手を振ると、心がぽかぽかと暖かくなった。もう偽りようがない。
(私、佐藤さんのことが好きなんだ。)
こんな気持ちは久しぶりだ。レセプションで待ち合わせできたことがすごく嬉しい。私は顔が緩まないように、ほっぺを手で押さえながら改札へ向かった。
なんだレセプションの話か……なんて思っていない。
「ホテルの場所はわかる?」
「あそこですよね。」
私は線路の向こうにあるホテルを指差した。
「そう。会場はいつも8階だけど、違う時もあるから当日ロビーで看板みたいなやつ見るといいよ。」
「わかりました。」
「会場の中は、結婚式の披露宴みたいな感じになってる。テーブルがいくつか並んでて……椅子はないんだけど。途中で料理が出て、会場の外にはウェルカムドリンクもある。」
なんだかワクワクしてきた。
「服装はサンチェス=ドマーニですよね?靴とバッグは持っていないんですが……」
「新作のワンピースは着るの?」
「はい。服はそれにしようかなって思ってます。」
「服がサンチェス=ドマーニなら、それ以外はなんでも良いよ。揃えていない人も多いから。」
サンチェス=ドマーニのレセプションだから、全員がバチバチの全身コーデで来るのかと思った。
「他に気になることはある?」
「えっと……」
会場で佐藤さんと会えますかなんて聞いたらだめだろうか。もしかして、佐藤さんは別の人と待ち合わせをしているのだろうか。
「宮島さん、ちょっと見せて……」
(なになに!?なんなのっ!?)
突然佐藤さんの顔が近づいてきて、心臓が飛び出しそうになった。
「イヤリングなんだね。」
「あ、はい……そうなんです。ピアス開けるのは怖くて……」
(ん?この香りは……)
「サンチェス=ドマーニのイヤリングって少ないよね。」
(Citrus D’amourだ!)
佐藤さんからほんのり香るのはサンチェス=ドマーニの新しく発売された香水Citrus D’amourは、簡単に買える物ではなかった。佐藤さんは新作のスーツを買って私のペンダントを買って、さらに香水まで買ってしまう。これがレセプションに招待される上客というものか。羨ましい!
「去年の秋に出たやつだよね。すぐ売り切れたやつ。」
「そうなんですよ。よく知ってますね!」
「アクセサリーは欲しいと思ったら買わないとすぐ売り切れちゃうんだよね。」
そうなのだ。新作のワンピースとお揃いのペンダントも、佐藤さんが買ってくれなかったら逃していただろう。
「佐藤さん、この前は本当にありがとうございました。」
「いつでも言って。宮島さんにならなんでも買ってあげる。」
悪魔の声なのか、天使の声なのかわからない。
「当日は、会場で待ち合わせようか。会場の中にあるテーブルに番号がついてるんだけど、壁際の後ろから数えて3番目の16番テーブル。その辺りにいて。」
「わかりました。」
「じゃあね。今週は多分会えないと思うから当日ね。」
「はい。体に気をつけてください。」
「ありがとう!」
佐藤さんに手を振ると、心がぽかぽかと暖かくなった。もう偽りようがない。
(私、佐藤さんのことが好きなんだ。)
こんな気持ちは久しぶりだ。レセプションで待ち合わせできたことがすごく嬉しい。私は顔が緩まないように、ほっぺを手で押さえながら改札へ向かった。



