扉の先には異次元の世界が広がっていた。部屋が信じられないほど広く、大きな窓には夜景が広がっている。こんなところに住んでいるなんて羨ましい。さすが御曹司!と思いたかったのだが──
「汚な。」
豪華な部屋が台無しになるほど散らかっている。呆気に取られているうちに磯山さんは部屋の奥へずんずん進んでいく。慌てて追いかけると、磯山さんは奥の部屋の扉を開いた。暗い部屋のベッドの上に佐藤さんは横たわっていた。
「わぁ、さきっ!」
勢いよく起き上がった佐藤さんは、ばっちり顔が見えている。私は慌てて磯山さんの後ろに隠れた。
「意識はあるようです。ご迷惑をおかけ致しました。」
「ご記入いただく書類がございますので、お済みになりましたらロビーへお越しください。」
「承知致しました。」
コンシェルジュが部屋を出て行くと、磯山さんは私の前に立った。
「必要な物を用意して参ります。」
そして磯山さんも部屋を出て行ってしまった。
「嬉しいな。彼女が部屋にいるなんて。」
佐藤さんの声はかすれているけれど、思ったよりも元気そうだ。
「全然連絡がないから心配しましたよ。」
「ずっと寝てたみたい。」
「良かったです。大事に至らなくて。」
「なんでこっち見てくれないの?」
「顔が見えてるからです。」
「あ、そっか。待ってて。……いいよ。直したよ。」
恐る恐る振り返ると、前髪で顔が見えないいつもの佐藤さんだった。佐藤さんはスーツだった。
「仕事、行こうとしてたんですか?」
「着替えたんだけど倒れちゃって、動けなくなっちゃった。」
体調が悪いことを自覚していなかったのかもしれない。
「磯山さんに連れて来てもらったんだね。」
「健斗さんに佐藤さんの家を聞きに行ったら、お店の前に車が停まったんです。」
「ごめん……ずっと話してなかった。ここ座って?」
佐藤さんは隣を指さした。
「汚な。」
豪華な部屋が台無しになるほど散らかっている。呆気に取られているうちに磯山さんは部屋の奥へずんずん進んでいく。慌てて追いかけると、磯山さんは奥の部屋の扉を開いた。暗い部屋のベッドの上に佐藤さんは横たわっていた。
「わぁ、さきっ!」
勢いよく起き上がった佐藤さんは、ばっちり顔が見えている。私は慌てて磯山さんの後ろに隠れた。
「意識はあるようです。ご迷惑をおかけ致しました。」
「ご記入いただく書類がございますので、お済みになりましたらロビーへお越しください。」
「承知致しました。」
コンシェルジュが部屋を出て行くと、磯山さんは私の前に立った。
「必要な物を用意して参ります。」
そして磯山さんも部屋を出て行ってしまった。
「嬉しいな。彼女が部屋にいるなんて。」
佐藤さんの声はかすれているけれど、思ったよりも元気そうだ。
「全然連絡がないから心配しましたよ。」
「ずっと寝てたみたい。」
「良かったです。大事に至らなくて。」
「なんでこっち見てくれないの?」
「顔が見えてるからです。」
「あ、そっか。待ってて。……いいよ。直したよ。」
恐る恐る振り返ると、前髪で顔が見えないいつもの佐藤さんだった。佐藤さんはスーツだった。
「仕事、行こうとしてたんですか?」
「着替えたんだけど倒れちゃって、動けなくなっちゃった。」
体調が悪いことを自覚していなかったのかもしれない。
「磯山さんに連れて来てもらったんだね。」
「健斗さんに佐藤さんの家を聞きに行ったら、お店の前に車が停まったんです。」
「ごめん……ずっと話してなかった。ここ座って?」
佐藤さんは隣を指さした。



