月曜日。改札を出ると佐藤さんが立っているのが見えて、私はにわかに身構えた。あれは破壊力抜群のあの写真の被写体である本物の佐藤さんだ。恐る恐る近づいていくと、私に気づいた佐藤さんが駆け寄ってきた。
「良かった、元気になって。」
いつもの佐藤さんだ。あの写真の佐藤さんと同一人物だとは思えない。
「家聞いとけば良かった。そうすればお見舞いに行けたのに。」
「大丈夫です。佐藤さんにうつしたら大変です。」
家なんか来たら大変だ。インフルじゃなくても熱が出る。
「佐藤さんは大丈夫ですか?土日は撮影だったんですよね?」
「うん。意外と楽しかったよ。写真送ったんだけど見た?」
「あ……えっと……」
見ました。その写真のせいでよく眠れてません。
「やっぱり顔出した俺は嫌だよね。あの写真は姉ちゃんが送れってうるさくてさ。」
「いえ、そういう意味じゃないんです。すごく素敵な写真でした。ただ、私にはちょっと……なんというか……直視できないので、ちょっとずつ免疫をつけていまして……ははは。」
「めんえき?」
あの写真は少しずつ見るようにして、体に耐性をつけている。おかげで土曜日よりも写真を見られる時間が長くなった。
「待受変えた?犬の写真だったよね?」
「そ、そうですね……」
「まだ犬?」
「はい……」
「俺は犬以下ってこと?」
「そういうわけじゃありませんけど。」
「じゃぁ、変えてよ。俺より犬がいいってことじゃん。」
「違いますよ。そもそも彼氏を待受にするなんて恥ずかしいじゃないですか。」
「恥ずかしくない。俺はさきを待受にしたい。」
「嫌ですよ!」
「仲良いなぁ。ふふふ。」
久しぶりに早めに出勤したみゆきは、会社の前で言い合う2人の姿を見ながらくすくす笑った。
「良かった、元気になって。」
いつもの佐藤さんだ。あの写真の佐藤さんと同一人物だとは思えない。
「家聞いとけば良かった。そうすればお見舞いに行けたのに。」
「大丈夫です。佐藤さんにうつしたら大変です。」
家なんか来たら大変だ。インフルじゃなくても熱が出る。
「佐藤さんは大丈夫ですか?土日は撮影だったんですよね?」
「うん。意外と楽しかったよ。写真送ったんだけど見た?」
「あ……えっと……」
見ました。その写真のせいでよく眠れてません。
「やっぱり顔出した俺は嫌だよね。あの写真は姉ちゃんが送れってうるさくてさ。」
「いえ、そういう意味じゃないんです。すごく素敵な写真でした。ただ、私にはちょっと……なんというか……直視できないので、ちょっとずつ免疫をつけていまして……ははは。」
「めんえき?」
あの写真は少しずつ見るようにして、体に耐性をつけている。おかげで土曜日よりも写真を見られる時間が長くなった。
「待受変えた?犬の写真だったよね?」
「そ、そうですね……」
「まだ犬?」
「はい……」
「俺は犬以下ってこと?」
「そういうわけじゃありませんけど。」
「じゃぁ、変えてよ。俺より犬がいいってことじゃん。」
「違いますよ。そもそも彼氏を待受にするなんて恥ずかしいじゃないですか。」
「恥ずかしくない。俺はさきを待受にしたい。」
「嫌ですよ!」
「仲良いなぁ。ふふふ。」
久しぶりに早めに出勤したみゆきは、会社の前で言い合う2人の姿を見ながらくすくす笑った。



