BARの扉には準備中と書かれているが、佐藤さんは構わずに扉を開いた。
「準備中ですよ?」
「いいんだよ。」
中に入ると、健斗さんの呆れた声が聞こえてきた。
「こんなとこじゃなくて、ちゃんとしたとこ連れてってやれよ。」
「ここが一番いいから。」
「準備中なのにいいんですか?」
「こいつには読めないらしいです。」
カウンターの席に腰かけると、健斗さんはウイスキーっぽい烏龍茶が入ったグラスを差し出した。
「そんな格好で大丈夫だったのか?」
「さきが来てくれたから大丈夫。」
「ダメでしたよ?仕方ないですよね、モデルみたいですし。」
佐藤さんは飲んでいた烏龍茶を吹き出しそうになった。健斗さんはくすくす笑っている。
「ほら、彼女が話を振ってくれてるぞ?」
佐藤さんはカウンターにグラスを置いて、私の方を向いた。
「さき……実はね……モデルをやることになったんだ。」
「モデル!?」
「顔を出すことになるから……言っておかないとと思って……また疑われると困るし……」
佐藤さんは気まずそうに顔を俯けている。モデルをやるということは、レセプションで見たあの佐藤さんが表に出るということだ。佐藤さんのところに女性が群がることを心配しているのだろうか。
「モデルは人気商売です。たくさんの女性に好かれるのは良いことじゃないですか!」
「やってもいいの?」
「レセプションの時に全部断っていたから、嫌なのかと思っていました。そういったお仕事は。」
「知り合いから頼まれて、断れなくてさ……」
「公式に佐藤さんの顔を出せるんですから、頑張ってください。きっとすぐに売れっ子になります。」
「心の広い彼女で良かったな。」
「良かった、別れるって言われたらどうしようかと思った。」
「仕事は辞めてしまうんですか?」
「撮影は土日だから今のところは続けるつもり。さきと同じ会社にいたいし。」
「無理はしないでくださいね。佐藤さんの部署、忙しいですから。」
誰もいなかったBARはいつの間にか満席でにぎわっていた。佐藤さんと話していると時間があっという間に過ぎてしまう。まだ一緒にいたいけど、明日出勤だと思うと終電で帰るのは気が引ける。
「私、そろそろ帰りますね。」
「もうそんな時間か。駅まで送るよ。」
忙しそうにする健斗さんに挨拶を済ませてBARを出ると、佐藤さんは私の手を握った。
「準備中ですよ?」
「いいんだよ。」
中に入ると、健斗さんの呆れた声が聞こえてきた。
「こんなとこじゃなくて、ちゃんとしたとこ連れてってやれよ。」
「ここが一番いいから。」
「準備中なのにいいんですか?」
「こいつには読めないらしいです。」
カウンターの席に腰かけると、健斗さんはウイスキーっぽい烏龍茶が入ったグラスを差し出した。
「そんな格好で大丈夫だったのか?」
「さきが来てくれたから大丈夫。」
「ダメでしたよ?仕方ないですよね、モデルみたいですし。」
佐藤さんは飲んでいた烏龍茶を吹き出しそうになった。健斗さんはくすくす笑っている。
「ほら、彼女が話を振ってくれてるぞ?」
佐藤さんはカウンターにグラスを置いて、私の方を向いた。
「さき……実はね……モデルをやることになったんだ。」
「モデル!?」
「顔を出すことになるから……言っておかないとと思って……また疑われると困るし……」
佐藤さんは気まずそうに顔を俯けている。モデルをやるということは、レセプションで見たあの佐藤さんが表に出るということだ。佐藤さんのところに女性が群がることを心配しているのだろうか。
「モデルは人気商売です。たくさんの女性に好かれるのは良いことじゃないですか!」
「やってもいいの?」
「レセプションの時に全部断っていたから、嫌なのかと思っていました。そういったお仕事は。」
「知り合いから頼まれて、断れなくてさ……」
「公式に佐藤さんの顔を出せるんですから、頑張ってください。きっとすぐに売れっ子になります。」
「心の広い彼女で良かったな。」
「良かった、別れるって言われたらどうしようかと思った。」
「仕事は辞めてしまうんですか?」
「撮影は土日だから今のところは続けるつもり。さきと同じ会社にいたいし。」
「無理はしないでくださいね。佐藤さんの部署、忙しいですから。」
誰もいなかったBARはいつの間にか満席でにぎわっていた。佐藤さんと話していると時間があっという間に過ぎてしまう。まだ一緒にいたいけど、明日出勤だと思うと終電で帰るのは気が引ける。
「私、そろそろ帰りますね。」
「もうそんな時間か。駅まで送るよ。」
忙しそうにする健斗さんに挨拶を済ませてBARを出ると、佐藤さんは私の手を握った。



