週明け、重い足取りで会社へ向かって歩いていると、さきが近づいてきた。
「おはようございます、佐藤さん。レセプション楽しかったですね。」
「う、うん……ごめんね、なんか俺……」
「大丈夫ですよ、気にしてませんから。」
晃太は胸を撫で下ろした。さきは拍子抜けするくらいいつも通りだ。良かった。本当に良かった。しかし、休憩時間、思いがけない会話が聞こえてきた。
「いいですよ。土曜日ですね。」
「じゃ、駅で。」
「はい。楽しみにしてます。」
さきは営業の八代と話していた。
(土曜日に駅で待ち合わせして出かけるのだろうか。俺ではなくて八代と?さきは俺の彼女じゃないのか?)
パソコンに向かっているけれど、思うように手が動かない。
「佐藤、どうした?大丈夫か?」
「あ、すみません……」
あまりにも仕事が進まなくて上司の本城に心配されてしまった。すると今度は自分の向かいに座る同僚のところへ八代がやってきた。書類を届けにきたらしいが、無駄に話している。そのうち2人の会話が聞こえてきてしまった。
「今週の土曜に宮島さんと約束したんだ。」
「もう乗り換えたんですか?」
「人聞きのこと悪いこと言うな。俺は色んな人と交流を持ちたいだけだ。けど、あの感じならすぐ付き合えるかもな。ははは。」
驚いて机の上にあるコーヒーが零れそうになった。期間限定だけど今は自分の彼女のはずだ。それなのに八代と付き合うとでもいうのだろうか。
昼休みになると、すぐに席を立って休憩室へ向かった。ウイスキーを飲みたい気分だがここにはない。仕方なくブラックコーヒーで済ませようとすると、後ろから声をかけられた。振り返るとさきが立っていた。まだ彼女でいてくれるだろうか。そう聞こうとすると──
「佐藤さん、昨日の話、やっぱりなかったことにしてください。私、八代さんと付き合うことになったんです。すみません、失礼します。」
思わず胸を押さえた。やっぱり自分ではだめだった。よりによって、どうしてあんな奴に取られなければならないのだろう。さきは自分のことをもう何とも思っていないのだろうか。晃太はその場から動けなかった。
「おはようございます、佐藤さん。レセプション楽しかったですね。」
「う、うん……ごめんね、なんか俺……」
「大丈夫ですよ、気にしてませんから。」
晃太は胸を撫で下ろした。さきは拍子抜けするくらいいつも通りだ。良かった。本当に良かった。しかし、休憩時間、思いがけない会話が聞こえてきた。
「いいですよ。土曜日ですね。」
「じゃ、駅で。」
「はい。楽しみにしてます。」
さきは営業の八代と話していた。
(土曜日に駅で待ち合わせして出かけるのだろうか。俺ではなくて八代と?さきは俺の彼女じゃないのか?)
パソコンに向かっているけれど、思うように手が動かない。
「佐藤、どうした?大丈夫か?」
「あ、すみません……」
あまりにも仕事が進まなくて上司の本城に心配されてしまった。すると今度は自分の向かいに座る同僚のところへ八代がやってきた。書類を届けにきたらしいが、無駄に話している。そのうち2人の会話が聞こえてきてしまった。
「今週の土曜に宮島さんと約束したんだ。」
「もう乗り換えたんですか?」
「人聞きのこと悪いこと言うな。俺は色んな人と交流を持ちたいだけだ。けど、あの感じならすぐ付き合えるかもな。ははは。」
驚いて机の上にあるコーヒーが零れそうになった。期間限定だけど今は自分の彼女のはずだ。それなのに八代と付き合うとでもいうのだろうか。
昼休みになると、すぐに席を立って休憩室へ向かった。ウイスキーを飲みたい気分だがここにはない。仕方なくブラックコーヒーで済ませようとすると、後ろから声をかけられた。振り返るとさきが立っていた。まだ彼女でいてくれるだろうか。そう聞こうとすると──
「佐藤さん、昨日の話、やっぱりなかったことにしてください。私、八代さんと付き合うことになったんです。すみません、失礼します。」
思わず胸を押さえた。やっぱり自分ではだめだった。よりによって、どうしてあんな奴に取られなければならないのだろう。さきは自分のことをもう何とも思っていないのだろうか。晃太はその場から動けなかった。



