隣の部署の佐藤さんには秘密がある

　BARに着くなり、晃太は忙しい健斗を捕まえて今日あったことを事細かに話した。可哀想に思ってウイスキーを出したが、水のようにウイスキーを流し込んでいく。

「ねぇ、何がだめだったの？俺だよ？あの俺が本気で落とそうとしたのになんで？なんで落ちないの？なんで帰っちゃったの？ねぇ、ねぇ？」
「あぁ、わかったわかった。」

「期限付きだけど彼女になるって言ってくれたんだ。お腹空いたって言うから部屋に誘ったのにどうして帰っちゃうの？彼女なんだよ？」
「聞いてる限り彼女の感覚が普通だと思うがな。」

　彼女になったからって即座に部屋へ誘うのは遊びだと疑われても仕方ない。だが、晃太はこの方法で失敗したことがない。失敗しただけでも理解ができないのに、相手はこれまでとは違う本気の相手。逃げられてしまったのが相当堪えているようだ。

「会社で会ったら謝っておけ。急に部屋に誘われて驚いただろうからな。けど、彼女はお前がモテることは認識したはずだ。これまではこんな感じでやってましたが、今後改めますのでよろしくお願いします……そんな感じで言っとけばなんとかなるだろ。」
「話してくれると思う？宮島さん、もう話してくれないんじゃないかな。嫌だなぁ。また話したいな。今までみたいに……」

　晃太はカウンターに突っ伏して動かなくなった。