隣の部署の佐藤さんには秘密がある

「宮島さんと言いましたね。あなたなら大丈夫かもしれません。うちの放蕩息子をよろしくお願いします。」
「認めてくれるの?」

「今までの方とは違うようだからな。結婚してもらえるように頑張りなさい。」
「ありがとう、父さん!」

 父はその場を立ち去った。晃太は泣きそうになった。さきのおかげで父を説得できた。やはりさきは最高の彼女で最高の奥さんだ。

「さき、父さんが認めてくれた!」

 さきは目をぱちぱちさせている。

「さきのおかげだよ。」
「え?あ、そうなんですか?すみません、佐藤さんのお父さん怖すぎて……やっぱり大企業の会長さんってすごいですね……ははは。」

 まさか聞いていなかったのだろうか。晃太が顔を引きつらせていると、あかねと龍司がやってきた。

「良かったわね、晃太!」
「見直したぞ?」

「姉ちゃんと兄さんも聞いてたの?」
「水伊勢の会長がお怒りだとか、KOTAに指導してるなんて聞いたら見に来るだろ。」

「晃太よりさきちゃんの方がカッコよかったけど。」
「結婚してもらえるように頑張れよ?ははは。」

 あかねと龍司を前にして、晃太は照れたように笑った。すると、ピンクのスーツを着た祖父がやってきた。

「私も応援するよ。さきさんがいなかったら、このスーツは買えなかったからね。さきさんは私の恩人だ。」

 祖父はさきに微笑みかけた。さきはにこにこと笑って会釈している。ピンクのスーツはさきがいなければ買えなかった。さきのおかげで祖父に送ることができた。

「縁を切ると言った時はどうしようかと思ったよ。仕送りができなくなってしまったら、サンチェス=ドマーニが買えなくなって大変だろうからね。」
「おじいちゃんから仕送りもらってるの?」

「私が買って欲しいものを頼んでいるんだ。晃太は私の買い物のついでに自分の物を買っているだけさ。でもね、さきさん。晃太が持ってるサンチェス=ドマーニは、ほとんどが私のお金で買われている。つまり晃太が持っている物はほとんどが私の物。ということは、さきさんも私の物ということでいいかな?」
「だめだよ。」

 晃太はさきを背中に隠した。

「さきさん、次のレセプションは私と行こう。晃太はモデルで忙しいからね。」
「人の彼女を誘わないで。」

「そうだ、もうすぐ新作が出るから買ってあげようか。あぁ、私からのプレゼントは受け取ってくれたかな?次はもっと貴重な物を持って来てあげるからね。」
「じぃちゃん、もう話しかけないで!」

 祖父と晃太のやりとりを見ながらあかねと龍司はくすくす笑っていた。

「相談役、お時間でございます。」
「じゃ、晃太、頑張るんだよ?別れたら教えなさい。」
「別れないから!」

 呼びに来た磯山と共に、祖父と龍司は爽やかに去って行った。