「ありがとうございます。はい、大丈夫です。はい、あぁすみません……はい……」
KOTAが囲まれていた。さっきまでショーに出ていた売れっ子モデルがこんなところにいれば、そうなるのは必然だ。KOTAを囲む人数はどんどん増えていく。私は見ないふりをして会場へ向かった。
「待って、さき!」
こんなところで名前を呼ばないで欲しい。視線が矢のように刺さる。きっとKOTAを取り囲んでいる人たちは一斉にこちらを見ていることだろう。無視して会場へ入ろうとすると、KOTAを取り巻いていた人たちが突然会場へ戻り始めた。何事かと思って見てみると、見覚えのある怖いオーラを放つ男性が険しい顔をしてこちらへ歩いてきた。
(か……会長だ……!)
ただでさえ怖いのに、あんな顔をしていたら人が離れていくのも無理はない。KOTAが水伊勢の御子息であることは誰も知らないから、クライアントがモデルに注文を付けに来たとでも思われたのかもしれない。体を強張らせていると、佐藤さんに手を掴まれた。
「さき、ちょっと来て。」
会長の前に連れて来られた私は白目になりかけた。あかねさんに紹介されたときはまだ距離があったから良かったが、近くで見る会長はとんでもなく怖い。とてもじゃないが目なんて合わせられない。
「父さん、彼女が俺の婚約者。俺は彼女と結婚する。」
会長は眼光鋭く佐藤さんを見ている。
「結婚を認めてくれないなら一生家には戻らない。縁を切る覚悟でいる。」
佐藤さんは私のために家を捨て、御曹司である身分を捨てて私を選んでくれようとしている。なんて感動的なのだろう──と思いたいところだけど。
KOTAが囲まれていた。さっきまでショーに出ていた売れっ子モデルがこんなところにいれば、そうなるのは必然だ。KOTAを囲む人数はどんどん増えていく。私は見ないふりをして会場へ向かった。
「待って、さき!」
こんなところで名前を呼ばないで欲しい。視線が矢のように刺さる。きっとKOTAを取り囲んでいる人たちは一斉にこちらを見ていることだろう。無視して会場へ入ろうとすると、KOTAを取り巻いていた人たちが突然会場へ戻り始めた。何事かと思って見てみると、見覚えのある怖いオーラを放つ男性が険しい顔をしてこちらへ歩いてきた。
(か……会長だ……!)
ただでさえ怖いのに、あんな顔をしていたら人が離れていくのも無理はない。KOTAが水伊勢の御子息であることは誰も知らないから、クライアントがモデルに注文を付けに来たとでも思われたのかもしれない。体を強張らせていると、佐藤さんに手を掴まれた。
「さき、ちょっと来て。」
会長の前に連れて来られた私は白目になりかけた。あかねさんに紹介されたときはまだ距離があったから良かったが、近くで見る会長はとんでもなく怖い。とてもじゃないが目なんて合わせられない。
「父さん、彼女が俺の婚約者。俺は彼女と結婚する。」
会長は眼光鋭く佐藤さんを見ている。
「結婚を認めてくれないなら一生家には戻らない。縁を切る覚悟でいる。」
佐藤さんは私のために家を捨て、御曹司である身分を捨てて私を選んでくれようとしている。なんて感動的なのだろう──と思いたいところだけど。



