ここが体育館!うん、やっぱりここも、ものすごくきれい。「俺は生徒会役員だから壇上にいく。席は来栖に聞いてくれ。おーい来栖!こっちに来い!」先生にそんな口調でいいのかな?「俺と来栖は親戚だから問題ない。」え?!なんでわかったんだろう?「顔に出ていた。」「へ?そ、そんなにわかりやすかったですか?」「ああ。百面相していて面白い。」は、恥ずかしい。慌てて赤くなった顔を隠すように俯いた私は、先輩のほんのり赤くなった顔に気づかなかった。
「おいおい。センセーにそんなお口聞いていいのかな?氷牙クン?」「ああ。お前のことは特に敬っていないので問題ない。」「いやひっど。仮にも年上だぞ?」「ほう。年しかマウントを取れるものがないのか。可哀想な大人だな。」「駄目だ...俺じゃこいつに口で勝てねぇ...」「まぁそんなことはどうでもいい。」「そんなこと!?」「うるさい。」わ、わぁ氷牙様、口撃が鋭い...「どうでもいいから自己紹介しろ。」「へいへい...えっと、三柴秋奈...だよな?俺は楠来栖(くすのき くるす)一応コイツの親戚だ。」「宜しくお願いいたします。楠先生。」そう言って私が頭を下げると、ニカッと楠先生が笑った気配がして、「三柴は礼儀正しいな!コイツとは大違いだ!俺のことは来栖でいい。あまり苗字で呼ばれるのはすきではないんでな。」楠先生...改め来栖先生が笑ってくれたので、私も笑みを返す。「わかりました。来栖先生。改めて、これから宜しくお願いいたします。」
よな」
said氷牙
昔の俺は自分で言うのもなんだが、結構素直な方だったと思う。だが、今はすべての人を初見では疑ってかかっている。そのきっかけはきっと、あのことだろう。ある日、俺は犬を拾った。どうしても放って置けず、その日のパーティー会場に連れて行った。訳を話して、連れてきた使用人に犬を洗ってもらおうとした。その使用人は若い女の子で、13歳の見習いだった。だがくるくるとよく働くので、俺のお気に入りの使用人だった。とっても優しい子だと思っていた。笑顔がとっても可愛いと思っていた。俺は犬が洗われるところを見てみたかったのだが、邪魔しては悪いと思い、こっそり見に行った。するとそこには悪口を言いながら乱暴な手付きで犬を洗っている、あの子がいた。「全く、ほっっんと嫌。いつも笑っていたらいい気になりやがって。あのボンボン。いつも私を皆見習い見習いって言ってバカにしやがって。こんなとこ給料が良くなくちゃやってらんないよ。ま、あのちょっろいボンボン堕としたら人生イージーモード!結婚したらそのうち暗殺して遺産独り占めにしようかなぁ!」はっきり言って怖かった。いつも優しいあの子がこんな事を言うなんて。いつも笑顔のあの子が俺のことをこんな風に思っているなんて。このあと偶然聞いていた別の使用人が親にリークしたため、この子は解雇となったが、俺は簡単に人を信じられなくなった。初めて秋奈に会った時、俺は理事長の命令で仕方なく行っただけだった。だが、秋奈と話ているうちに、こいつは本当にこう思って、行動していると気付いて、疑うことをやめた。思いと行動が裏表ないものと一緒にいるのは心地よいものなのだと気付いた。俺は、疑うことが癖になっているので、そのぶん信じた相手にはとことん大事にすると決めている。だが、秋奈にはそれ以上のものを捧げたい、、、、と心の底で、なにかの声が聞こえたきがした。