「あなたはこれからこの学校に行きなさい。」そう奥様は言った。そして、数秒の間。「謹んで。」私はゆっくりと頭を垂れる。教え込まれた、美しい所作で。
これが私、三神秋奈が東雲学園に行くことになった理由である。
私は昔はこの三柴家の娘だったのだが、訳あって従者として三柴家の分家の娘、三神秋奈を名乗っている。三神家の正式な養女になっているので、戸籍には問題ない。今は色々な事情でここに集まってきた、小さな子供達の勉強を見たりする役としてここにおいていただいている。その子供たちの多くは、親に身売り同然で連れてこられた子や、お金がなくて困っていた子を旦那様が連れてきた子だったりする。皆を救ってくれる旦那様は本当にすごいと幼心に思ったことを覚えている。奥様の意図が読めないけれど、学園の皆さまとうまく顔を繋げて、三柴家に利益をもたらす事が出来るとらいいな。なんて思っていた私は知らなかった。自分を中心に、東雲学園に恋の嵐が吹き荒れるなんて。それを私が知るまで、あと、、、、？