ページのすみで揺れていたもの

私は、しばらく返事ができなかった。

でも、せっかく伸ばしかけた手を引っ込ませると、次はもっと勇気がいる。

そして、

「……逃げ腰だけど、ちょっと頑張ってみてもいいですか?」

あえて、明るく言った。自分で決めなきゃいけないことなのに人に聞くのはやっぱり臆病だと思う。でも今の私の精一杯だ。

重くしすぎないように、
泣き言じゃなく、ちゃんと前を向くために。

それでも、心の奥は、
ぐらぐらと揺れていた。

藤澤はその言葉に、すぐには笑わなかった。

黙って、まっすぐこちらを見て、
静かに、でもはっきりと言った。

藤澤「……逃げ腰でも、向き合おうとするなら、それで十分だ」

「……」

藤澤「その言葉が出ただけで、
 お前はもう、ちゃんと一歩踏み出してる」

その言葉に、
私の胸の奥でなにかが、
少しだけ、解ける音がした。