ページのすみで揺れていたもの

レントゲン後処置室に案内され、私はベッドに横になった。

看護師さんがやってきて、点滴の準備を始める。

「じゃあ、刺しますねー。ちょっとチクっとしますよ」

優しい声とともに、腕を固定される。
けれど、針を当てる手が何度か迷うのが分かった。

「……ごめんなさい。ちょっと血管細いですね」

「大丈夫です、いつも出にくいので……」

そう言ったものの、内心は(ごめんなさい)でいっぱいだった。

そのとき。

「代わろうか」

ふいに聞こえた、低く落ち着いた声。

振り向くと、藤澤先生が袖をまくりながら近づいてくる。

藤澤は私の腕を取り、しばらく静かに見つめたあと、ひとこと。

藤澤「……ほっせーな」

それでも、ためらいなく針を構え、

藤澤「刺すぞ」

その言葉と同時に、ほとんど痛みもないまま、針が入った。

藤澤「……はい、おしまい

点滴の間、寝とけ。変な夢見んなよ」

「……変な夢ってなんですか……」

そう言いながら、私は少し笑って目を閉じた。



点滴が滴下を始めた頃、
藤澤は静かにそばに座り、
私が眠っている間にそっと聴診器をあてる。

呼吸音と、心音。
変化がないか、小さく耳を澄ませながら、ただ黙って確認していた。



数十分後。

検査結果が出ると、赤井先生が処置室の隅に藤澤を呼び出した。

パソコン画面に映る数値を見つめながら、
ふたりの表情が、少しずつ硬くなっていく。