ページのすみで揺れていたもの



コンコン、と診察室のドアがノックされた。

赤井「はーい、どうぞー」

赤井先生が軽く返事をすると、
次の瞬間、藤澤先生が何食わぬ顔で入ってきた。

藤澤「……ちゃんと帰るつもりだったんだけどな。
 “即呼べ”って言っといたら、本当に即呼ばれたわ。
 お前、また誤魔化した?」

完全に呆れたような、でもどこか楽しそうな顔だった。

「いや、あの、別にそこまで――」

藤澤「赤井、なんでこいつ自分で乗り切れると思ってるんだろうな?」

赤井「それが一番の不思議。こっちの目線、完全に信用してないらしい。一応看護師なんだよね?」

ふたりして当たり前のように私の“演技力”を笑いながら会話している。

(こっちは全力で誤魔化したつもりだったのに……)

思わず視線をそらすと、
藤澤が表情を少しだけ引き締めて、静かに言った。

藤澤「点滴の時、血液検査もする。軽く診察したけど脱水だけじゃないかもしれないし。
 採血、別にやると負担だから――サーフロで一緒に取るし1回で済む」

「……それ、先生の段取りですか?」

「当たり前。お前がここの病院提案してくれてよかったよ。すぐに赤井に連絡取れた」

赤井先生が横から

赤井「じゃ、採血オーダー入れとくね。
先にレントゲン撮ってきて。」

「はい……」

そう言いながら、
(結局、全部お見通しなんだな)と心の中で苦笑いしていた。

でも――
こうしてちゃんと見てくれる人がいることが、
ほんの少しだけ、安心だった。