ページのすみで揺れていたもの

改めて周りを見る。

うめき声。誰かの名前を呼ぶ声。
「大丈夫?」「誰か!」という叫びも聞こえる。

傍らで、制服を着た中学生くらいの男の子が泣きながら、動かない男性にしがみついていた。

反対側では、ガラスの破片で脚を切ったのか、女性が服の袖を裂いて止血しようとしている。

「私は看護師を目指してるんだからしっかりしなきゃ」
そう思いながら、

まず自分が何をすべきか、何ができるかを考え、

「トリアージ...」
(最近の授業でやったばかりだ。
災害時に、助けを待つ人の状態を見て、優先順位をつける方法。

阪神淡路大震災の映像で、色のタグをつけて振り分ける様子を見た。
救急車の音は近づいてきてる。すぐに来る。

状態がわかれば、搬送もスムーズになるはず——。)

ふらつく足取りを無理やり支えて、一歩、また一歩。

誰かの元へ向かって——。