トンネルから出たあと、病院での検査結果は、思った以上にしっかりと現実を突きつけてきた。
右腕も、肋骨も、両方ともヒビ。
大きな治療は必要ないけれど、しばらくは安静が必要だと言われた。
私は帰宅した自分の部屋のベッドに横たわりながら、天井を見つめていた。
「生きてるんだな」
そんな言葉が、ふと頭に浮かんだ。
あのトンネルで――呼吸のない人を目の前にして、
止血しながら意識を失っていく人を支えて、
それでも自分はこうして、家に帰ってこられた。
それがどれだけ“奇跡”みたいなことか、今日やっと知った気がする。
帰宅してからも、頭の中は事故現場の光景でいっぱいだった。
人の叫び声、血の色、手の感触、揺れるライトの赤――全部、鮮明に残っている。
私は部屋の片隅にある、大学で使おうと思っていたノートを手に取り、そっと開く。
そして事故が鮮明に記憶されている今、その言葉にできない思いをペンに走らせた。
⸻
202⚪︎年11月15日
あのトンネルで、たくさんの命と向き合った。
私は、看護学生で、何もできなくて、ただ泣きたくて――
でも、「助けたい」って思った。
その気持ちは、確かにあった。
今日、私は生きている。
ちゃんと呼吸して、歩いて、ご飯を食べて、眠れている。
だけど、あの人たちは――もう、今日という日を迎えられなかったかもしれない。
だから私は、ここに書く。
生きてる証として。
何もできなかった自分も、ちゃんとここにいたってことを。
⸻
そうして私は、日記をつけるようになった。
あの日から、毎日。
私はここに、生きた証を残すんだ。
右腕も、肋骨も、両方ともヒビ。
大きな治療は必要ないけれど、しばらくは安静が必要だと言われた。
私は帰宅した自分の部屋のベッドに横たわりながら、天井を見つめていた。
「生きてるんだな」
そんな言葉が、ふと頭に浮かんだ。
あのトンネルで――呼吸のない人を目の前にして、
止血しながら意識を失っていく人を支えて、
それでも自分はこうして、家に帰ってこられた。
それがどれだけ“奇跡”みたいなことか、今日やっと知った気がする。
帰宅してからも、頭の中は事故現場の光景でいっぱいだった。
人の叫び声、血の色、手の感触、揺れるライトの赤――全部、鮮明に残っている。
私は部屋の片隅にある、大学で使おうと思っていたノートを手に取り、そっと開く。
そして事故が鮮明に記憶されている今、その言葉にできない思いをペンに走らせた。
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202⚪︎年11月15日
あのトンネルで、たくさんの命と向き合った。
私は、看護学生で、何もできなくて、ただ泣きたくて――
でも、「助けたい」って思った。
その気持ちは、確かにあった。
今日、私は生きている。
ちゃんと呼吸して、歩いて、ご飯を食べて、眠れている。
だけど、あの人たちは――もう、今日という日を迎えられなかったかもしれない。
だから私は、ここに書く。
生きてる証として。
何もできなかった自分も、ちゃんとここにいたってことを。
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そうして私は、日記をつけるようになった。
あの日から、毎日。
私はここに、生きた証を残すんだ。

