夜10時。
あっ、もうそんな時間か!

テレビを見始めたのは……確か8時半くらいだったかな?
結構見てたんだなー。


「うーーん」


おっきく伸びをする。
まるで起きたばっかみたい。


「ん?どした?」

「朱羅ちゃん、どうしたの〜?」

「どうかした?」


あたしの行動を不思議に思ったのか、3人が聞いてきた。


「あっううん、なんでもない。もうこんな時間か〜と思って」

「わ!ほんとだ!」

「気づかなかったな〜」

「時間経つの早すぎ〜!」

「あはは、だね」


3人も気づいてなかったのか、時計を見てびっくりしている。

あたしはもうそろそろ出かけるかな。


「じゃ〜あたしはもう行くね」

「……え?」

「どこに……?」

「ああ、忘れた?あたし夜はいつも行ってる場所があるんだよね」

「あー……確かそんなこと言ってたな……」

「うん」

「そこに行くの……?危ない場所とかじゃ……ない、よね?」


心配なのか、眉を下げて零逢がたずねてくる。


「うん、危ない場所じゃな……」


……うん、あそこは危なくはない……よね。


「……いよ」

「ちょっと!何今の間!?」

「や、やっぱり危険な場所とかじゃ……」

「だ、大丈夫だから……!心配しないで。大丈夫だから……ね?」


3人とも心配そうに顔をゆがめている。
こんな顔させちゃって、ごめんね。


「……ねえ、朱羅ちゃん」

「ん?なあに?」

「……やっぱり、そこのことについてはくわしく話せない……?」


やっぱり、気になるようだ。
でも__。


「……うん、ごめんね……」


まだ話せない。
今以上に心配をかけるだろうから。
このことは、パパたちも知らない。
知ってるのは、親友だけ。

__いつか、話すから……
そのときまで、待っててね。

これは言葉には出さなかった。
だから、かわりに微笑んでみせた。


「しゅ……」

「じゃああたしもう行くね!亜樹さんたちにも伝えてくる!」


蘭潤の言葉をさえぎって、言った。


亜樹さんと優採さんに伝えてから、あたしは茨樹家を出た。