なにをどう考えても、信じられない。
なんで男の子がここに……!?

1人でパニくっていると、亜樹さんが口を開いた。


「ほら、4人とも。朱羅ちゃんに挨拶しなさい」

「へいへい」

「……ん」

「はーい」

「うい!」


喋り方は違うけど、4人とも、全く声帯が同じ……それに顔も……っていうか、めっちゃイケメン!?

ツヤのある、少しグレーのかかった白い髪。
キリッとしてて、でもちょっとタレ目な大きな瞳。

どこもかもが完璧すぎて、悪いところを見つけろと言われる方が難しい。

それくらい、超・美形だ。

おまけに背も高くて、170cm以上はあるだろう。
身長150cmちょっとのあたしとは、頭1個分くらい差がある。

なんだか、見たことがあるような……?

そんなことを思っていたら、亜樹さんに似て元気そうな男の子が話しかけてきた。


「はじめまして〜!俺は茨樹 蘭潤(いばらき らうる)!4つ子の長男だよ☆」


蘭潤……可愛い名前。聞いたことあるような?

なんだか大型犬みたいだな……サバサバしてそう!


「……楼翔(るか)。4つ子の次男」


あっけない挨拶。恥ずかしがり屋なのかな?
でもクールだなあ。
真面目って感じがする。頭良さそう!

楼翔……こちらも聞いたことがあるような名前だ。


「こんにちは。僕は龍聖(りゅうせい)だよ。4つ子の3男です。趣味はおかしを作ること!」


正統派王子。
そんな言葉が1番ぴったりな、王子みたいな男の子だ。

龍聖か……またまた聞いたことのあるような……。


「やほー!ボクは零逢(れあ)!4つ子の末っ子だよ☆趣味はりゅうと同じ、お菓子作り!ねえねえ、君はお菓子作り好き?」


今度はとびきりスマイルの可愛い男の子が、挨拶してくれた。

零逢……も聞いたことあるけど、思い出せない……。

……ってえ、めっちゃ可愛い……!!
え?なに?アイドルかなにかかな?
とりあえず可愛いんですけど!!女のあたしより可愛いじゃん!!

ってあたし!!
質問されてるよ!!


「…あっ、ああ……あたしもお菓子作るの好きですよ」

「っも〜!敬語禁止!気使わないで!これ絶対ルールね!!」

「は、はい……」

「敬語!!」

「わっ、分かった!!」

「よろしい」


零逢は満足したような笑みを浮かべて「ふふん♪」と言っている。

あっ……!
そういえば、あたしも自己紹介しないと!


「えっと、壱ノ瀬 朱羅です!好きな食べ物……?は、甘いものと辛いものです!ていうか食べ物全番好きですっ!」


これでいいかな!

楼翔をのぞく4つ子は安心したような顔つきで……

……って
え……?

さっきみんな、『4つ子の○男です』って言ってなかった??

え??


4つ子__?


「えええええーーーーーーーーー!!!??!」

「うおっ、どうした!?」

「いきなり大声なんて出して、どうしたの?」


気づいたらあたしは、叫んでた。
だって、4つ子って言われたんだよ!?
発狂するのは仕方なくない!?


「しっ仕方ないじゃん!!だって、4つ子って……」

「ん?4つ子がどうした?」

「よ……4つ子……なんて……」

「あ〜、もしかしてお母さん、僕らのこと言ってなかったり……?」

「あっ、そういえば言ってなかったわね。ごめんね、朱羅ちゃん。この4人は、“4つ子”よ」


え__?


……バタンッ


「朱羅ちゃん!?」


キャパオーバーしたあたしは、その場で倒れてしまった__。