「すまない朱羅……来週から父さんたち、海外に行かなきゃいけなくて……」

「……え?」


中学2年の5月末。
月曜日だから『学校に行きたくない』『ダラダラしてたい』というわがままから、体が鉛みたいに重かったあたしは、パパの言葉で一気に目が覚めた。

えっ……海外……?

まさか……あたしも海外に行かないといけないの!?


あたしの名前は壱ノ瀬 朱羅(いちのせ しゅら)!中学2年生だよ☆
甘党でも辛党でもあり、食べ物がだーいすき!!


話は戻り……何故かあたしは、海外に行かなければならないかもしれないという状況におちいっている……。


「そ、そっか……じゃあ、あたしもついて行かないといけないの……?」


不安だから、聞いてみた。

だって、私立だから頑張って受験して、行きたかった中学に行けたんだよ?

親友もできたし、クラスのみんなとも仲良くやれてる。

いきなり分かれるなんて寂しいし……心細すぎる。

さっきの質問にパパたちは__


「ああ、朱羅にはそのままここに居てもらうよ」

「友達と離れ離れなんて、嫌だろうしね。でしょう?」


__よっ……良かったああ!!!

やっぱりパパたちはあたしのこと分かってくれてるなあ♪
さすがパパたち!


「うん!残ってるね!それで、2人ともいつ帰ってくるの?1年はさすがに1人で暮らすのは寂しいんだけど」

「ああ、半年もすれば戻ってく……って、え?」

「ひ、1人で……??」

「え?そうだよ?あたし、もう中学生だし1人でも暮らせるもん!」


別にもう中学生なんだから、1人で暮らすなんて余裕でしょ☆

あたし結構憧れてたんだよね〜、一人暮らしって!
なんか大人って感じするじゃん??

なんて、1人で張り切ってたら、


「いや、朱羅にはママたちの友達の家に居てもらうわよ」


ママがそう言った。

ん……?

ママたちの?友達の?家に?居てもらう……??

え、あたしここで1人で居るんじゃないの!?


「1人でなんて、とても居させられない」

「そうよ、心配なんだもの」


そっそんな……。


「でっできるよ!もう中学生なんだし!料理も洗濯も家事はほぼなんだってできるし!!」

「でも心配なのよ。仕方ないじゃない。それに、もう友達にはお願いしてるの」

「受け入れてくれたよ。もう断るわけにはいかないんだ。」

「えーーーーーー!!?」


ぐ……それじゃあ相手にも失礼だし……そりゃ断れない……。

っもーー!!一人暮らしやってみたかったなあ……。

なんて1人で怒ってても、何も状況は変わらない。

まあ、仕方ないか……。