「本当に雨降ってきた。傘持ってきて正解だったな」
仕事を終えて会社から出ようとしたら、パラパラと雨が降っていた。ニュースの天気予報で夕方からの降水確率が90%と聞いていたので、俺は傘を持ってきていたのだ。
傘を差しながら家へと向かって歩く。その途中にあるコンビニに寄って、今日の夕ごはんの弁当とビール2本を買った。
コンビニ袋をがさがさと揺らしながら歩いていると。
「ん?」
小さな公園を横切ろうとした時、ベンチに座りながら雨に濡れている女の人が視界に入った。
「……こんな雨の中、何でずぶ濡れになりながらベンチに座ってるんだ?」
公園の入り口から、何となくその女の人を見ていた。頭を俯け、両手には何か缶が握られていた。よく見ると、俺がさっきコンビニで買ったビールと同じもののようだ。というか、その女の人の周りを見ると、飲み終わったビールの缶がいくつも転がっていた。
「酒飲んで酔ってるのか?」
声をかけるべきか無視するべきか悩んでいると。
ドサッ!
その女の人は倒れるようにして、ベンチに横になったのだ。



