その他大勢から抜け出せた。
そう思ったのは、勘違いだったのかもしれない。
空さんはその日以来、姿を消してしまった。
ご飯に行く約束をしたのが金曜日で、早く月曜になって空さんに会いたいとウズウズした土日。
そしてやっと来た月曜日。
スカイ・バルはいつもの場所になく、周辺を探しても見つからなかった。
動揺しつつも、今日はたまたま何かあったのかもと思った。
でもそれから1週間、そして2週間経っても、空さんには会えなかった。
元気がない私を励まそうと、倉持さんが飲みに連れてってくれた。
「やっぱり私がご飯に誘ったせいですかね…」
私ははぁ、とため息をついた。
「もう〜ため息禁止!」
倉持さんにビシッと指摘される。
「だってー。あの日からですもん、いなくなっちゃったの」
「何かあったのかもしれないじゃん」
「でももう2週間ですよ?さすがに長すぎません?」
「んーまぁ」
「きっと、私とご飯に行くの嫌になったんだろうな…」
「でも、ぜひ行きましょうって言ってくれたんでしょ?」
「はい。けどよく考えたらやっぱり無理ってなったのかもしれません」
自分で言って悲しくなる。
「んーまぁ、会えないことには真相は分からないからねぇ」
「はい…」
「こりゃ吹っ切るにはまだまだ時間がかかりそうだね」
項垂れる私を見て、倉持さんは苦笑した。



