爽やかな空に恋しました

そのまま公園内の空いてるテーブルベンチに座る。

晴れてる日は大体、ここで食べていくのが私のルーティン。

外で食べた方が息抜きになるっていうのもあるけど、それだけじゃない。


チラッと顔を上げて、少し遠くのある場所を見る。


あ、お客さん並んでる。

私の時はちょうど空いててよかったー。


そう。ここからだと、スカイ・バルが見えるのだ。

見えるって言っても、距離があるからはっきりは見えない。

今日は忙しそうだなーとか、遠目に眺めるくらい。


さすがに空さんも、私がここで食べてることには気づいてないと思うな。

ちょっと悪いことしてるみたいだけど、でも仕事の合間のこの時間が、私にとって最高の幸せなんだ。




「戻りました〜」

「お帰りなさーい」

空さんのチーズドリアでお腹も心も満たされた私は、お昼休憩を終えオフィスに戻った。


「今日もスカイ・バルにしたの?」

隣の席から聞こえた声。

目を向けると、二つ上の女性の先輩、倉持さんがこちらを見ていた。


倉持さんは私が新人の頃からお世話になっていて、話しやすい先輩だ。

スカイ・バルのことも話している。


「はい。てか聞いてください、倉持さん」

「なあに」

「店員さん、私のこと認識してました。しかもお話して、彼の名前ゲットしちゃいました!」

「えぇほんと?やるじゃん」

倉持さんが目を丸くして驚く。


「店員とただの客から、一歩前進しました!」

「毎日通った甲斐があったね」

「はい。どう思います?これ、チャンスあると思います?」

「んー、どうだろ。店員さん目当てで買いに行ってる人多そうだしね〜。私よく見るよ、スカイ・バルの袋持った女の人」

「それはたしかに、私も見ます…」

「その他大勢にならないように頑張ったら、チャンスあるかもね」

さぁ仕事も頑張るよ、という倉持さんに、はいと返事をしてパソコンを開けた。


そうだよなぁ。

やっぱり空さん人気だよねぇ。

恋してるのは私だけじゃないよね。

でも、その他大勢にならないように、って…


難しい!


お昼を買う少しの時間で、どう頑張ればいいんだ。