「すいません〜理事長室ってどこですか?」
そう言って声をかけてきたのは…女の子だった。
葵「…は?女…?」
ありえない。
ここ、不良校だよ?
「?一応共学ですよね?」
この子、知らないのか?
でも一応って言ってるし…
葵「ここが不良校な事は知ってるの?」
「はい。」
知ってるんだ…
「じゃあ何でここ来たの?」
こんなひ弱そうな子が来たって、ボコボコにされるだけだ。
「弟と兄が居るから?」
はあ!?
理由軽っ!
葵「それだけ!?」
途端、彼女から殺気が溢れ出る。
今まで見たことない位どす黒いオーラ。
「それ以上の理由いりますか?って言うか早く案内して下さい。」
こ、怖いっ!
これはもう怒らせない方が良いか…
葵「ご、ごめんね。理事長室は5階の1番北だよ。」
「そうですか。それじゃ。」
こ、怖かった…
いつも通り騒がしい教室。
それが、この一言で静まり返った。
「あ、おい、先生来たぞ!」
俺のクラスの担任、氷室雪斗先生は、元ヤンであり、怒らせると怖い。
雪斗「転校生を紹介する。」
転校生…?
あぁ,あの子か。
「ク、黒沢サン、ハイッテキテクダサイ…」
…は!?
氷室先生は強い。
今までケンカを売ってボコボコにされた奴も多い。
当たり前だ。
だって先生は世界No.1のグループ清瀧の元総長、かなうはずがない。
だから、生徒に敬語を使うことはない。
でも…今は敬語、しかもカタコトだ。
「はーい(笑)」
転校生は先生の反応を面白がっているのか、くすくすと笑っていた。
あの子、何者なんだ?
転校生が女である事と、氷室先生が敬語を使っている事に、クラスがざわつき始めた。
「女とか珍し…」
「って言うかめっちゃ可愛い!」
「何で氷室先生が敬語使ってるんだ!?」
「何でここ来たんだろ…」
氷室先生がいる時にうるさいとか珍しいな。
「黒沢雪紀です。よろしくお願いします。」
それだけ言って自分の席に着いた後、彼女…雪紀は寝てしまった。
氷室先生の授業で寝るってこの子度胸すごいな…
雪紀って本当、面白い子。
雪紀のきれいな顔を見ながら俺は小さく微笑んだ。
友達
「んん…」
今何時だ…?
時計を見ると、丁度2限目が終わった所だった。
昼休憩じゃないならまた寝るか、
?「おい、」
突然、赤髪の目付きの悪い奴が声をかけてきた。何か周りのイケメンもこっち見てる。
「私?」
?「お前だ。氷室先生の授業で寝るってどうゆう度胸してんだよ。」
どうゆう度胸って言われましても…
「そもそも、雪兄怖くないし。」
イケメン「「「「はぁ!?(えぇ!?)」」」」
うるさっ! 耳痛い…
周りの奴まで叫んでるし…、
?「本気で言ってる?」
そうだよ?
「本気だけど?っていうかあんたら誰?」
「葵(あおい)。よろしくね。」
さっき案内してくれた青髪の子が葵ね。
「玲夢(れむ)だよ〜。よろしく!」
ピンク髪の可愛い子が玲夢ね。
「蒼(そう)です。よろしくお願いします。」
緑色の髪で敬語なのが蒼ね。
「鏡。」
赤髪の俺様が鏡ね。
「凪…」
水色の髪で無口なのが凪ね。
って、こいつらけっこう強いな。
「雪紀。よろしく。」
葵「俺らの事は呼び捨てで良いから。」
「わかった。」
鏡「…お前さ、俺らの事怖くないの?」
急に何言ってんだ?
「怖い訳ないじゃん、初対面なのに。」
蒼「俺らの事知らないんですか?」
だーかーら!初対面でしょ!
え、何こいつら、
「知る訳ないじゃん、…もしかして、自意識過剰?」
「「「「「違う!」」」」」
わ、ハモったー!
玲夢「僕たちの事知らない子って、初めて見た…」
凪「俺も…」
えぇ…
「そんなに有名なの?あんたら。」
私、全く知らないんだけど…
玲夢「銀月の幹部だよ!」
銀月…?
また知らない単語でてきた…
「銀月って何?」
葵「そこからか…」
えへへ、私暴走族は瑠衣たちの入ってる清瀧しか知らない!
蒼「銀月は校内No.2の暴走族です。」
あー、だから有名って事ね。
「へぇ、」
鏡「それだけかよ?」
他にどんな反応すれば良いんだよ…
って言うか、
「私そう言う事興味無いし。」
葵「興味無いって…」
鏡「雪紀ってさ…変な奴だよな…」
玲夢「ははっ、言えてる〜(笑)」
蒼「ふふっ、ですね。」
凪「…(コクッ)」
えぇっ、ひどっ!
「変な奴じゃないし!」
そう言った時、丁度予礼が鳴った。
葵「あーあ、もうちょっと話したかったな。」
鏡「…サボって倉庫行くか?」
葵・玲夢・蒼「「「賛成」」」
そっか、倉庫行くんだ。
「行ってらっしゃ〜い。」
玲夢「雪紀も行くの!」
え?
「そーなの?」
蒼「はい、着いてきて下さい。」
ま、いっか。どうせ寝てるし。
「了解〜」
倉庫
「ここが銀月の倉庫か〜」
思っていたよりデカいな…
さすが校内No.2!
ガチャッ
「「「「「「こんにちは‼︎」」」」」」
うわっ!びっくりした…
元気な下っ端だな~
玲夢「やっほー♪」
葵「久しぶり。」
鏡「元気にしてたか?」
蒼「こんにちは。」
凪「…久しぶり」
皆、意外と面倒見が良いんだな、まぁ葵とかはそう言うイメージあるけど。
下「あのー、その人は?」
あー、やっぱ気になるよなぁ、私なんかが銀月の幹部と居たら…
蒼「俺らが誘ったので、入れて良いですよ。」
下「了解っす!」
「あ、黒沢雪紀。よろしく。」
下「はいっ!」
鏡「幹部室行くぞ~」
え、幹部室?
「私幹部どころか銀月ですらないんだけど…」
玲夢「雪紀は良いの!」
えぇ…
葵「そう言う事だから、幹部室はこっちだよ。」
なんだか理にかなってない気がするけど…まいっか!(適当)
わー、幹部室広い!
玲夢「お菓子と飲み物出すね〜何が良い?」
鏡と葵はコーラ、玲夢と私はいちごミルク、凪と蒼はお茶を選んだ。
「美味しい!…

