君が笑ってくれたから

「早く早く!」

「こわーい!」

「うわー、どきどきする!」

今日は高校の受験発表の日だ。
 
それと、中学校卒業式の3日前…。
 
発表は、高校のウェブサイトで確認をする。
 
永茉と華鈴と霞は公園に集まって発表を見ることにした。

「開くよ…」

「うん。」
 
華鈴がサイトを開いてくれる。

「えーっと…」
 
3人でスマホの画面を見て自分の番号を探す。

「おっ!」

「あっ!」

「わぁ!」
 
結果は…
 

「「「やったーー!」」」


3人とも受かったのだ。

「よかったね!」

「うん!次は卒業式、頑張ろっ!」

「うんうん!」
 
そうだ、3日後には卒業するんだ。
 
中学校…楽しかったな…。


「卒業生、起立!」
 
今日は卒業式だ。
 
もう、卒業しちゃうんだ。
 
色々あって大変だったけど…

  
楽しかったな。


「卒業証書授与」
 
卒業証書をもらって歩く。
 
みんなが見ている。
 
お母さんも、お父さんも、お兄ちゃんまで来ている。
 
お兄ちゃんも、もうすぐ高校卒業だね。

 
気が付けばもう、卒業式は終わりに近づいて来た。
 
何人か泣いているのがわかった。
 
よし、永茉たちの出番だ…

 
実は、永茉と華鈴と霞で、「最後にみんなに言いたいことがあるから。」と言って先生に少し時間を貰えるよう、お願いしたのだ。
 
そして、その時がきた。
 
何を言うのかも、誰が言うのかも、この時間の事は誰も知らない。
 
先生と永茉たちしか知らない。


「ここで特別な話があります。石橋永茉さん、山崎華鈴さん、花松霞さん、お願いします。」
 
司会をしてくれている先生が言った。

周りはざわざわしている。
 
泣いている子はここでは泣き止まないか…。
 
永茉たちは舞台へ上がる。
 
何度も練習した。
 
でも、毎回言うことは変わった。
 
だって、台本が無いから。
 
失敗しても大丈夫ってことみんなに伝えたかったから。