君が笑ってくれたから

仲良くするってなんなんだろう…

「答えは無いよ。でも、思ったこと言ってごらん?」
 
恵は優しい声で言ってくれた。

「…一緒に話し合ったり。」

「うん。話すことも大事だと思う。でも僕は、華鈴と永茉の事見て思った。」

「ん?」
 
話し合う以外に何すればいいのかな?

「二人に大切なのは、笑顔かなって。」

「笑顔…。でも…」
 
笑顔と言う言葉を聞いて、思い出した。
 
そうだ、保育園の時のこと。
 
華鈴が笑ってくれて嬉しかったんだ。

「なにか誘ってみたら?」

「無理ぃー。」
 
今の永茉が誘えるわけない。

「その作戦立てよ。」

「なんで、永茉の事助けようとするの?」
 
永茉はずっと恵の行動を気になっていた。

「なんとなく。」

「ん?まぁ、いいや。また聞くかもだけど。」
 
恵が言った「なんとなく」は、嘘だと思った。
 
でも永茉は、今は聞かれたくないのだと感じていた。

「じゃあ、何か誘ってみよう。話しかけるだけでもいいからさ。」

「うん…」

話は本題に入った。
 
永茉は、上手くいくか心配だった。

「修学旅行までには仲良くしたいよね?」

「うん、でもどうやって…」
 
永茉達の学校では、修学旅行は9月だ。
 
それまで、3ヶ月くらい時間はある。

「まず、夏祭りを誘おう」

「夏祭りって、7月25日と7月26日だったっけ。」

「うん。」
 
今日から夏祭りまでは数週間後だ。

「んー。でも…」

「予定でもある?僕はこっそり着いていこうと思ってるけど?」

「予定は無いけど…え?着いてくるの?」
 
恵は何を考えているんだろうか。
 
謎すぎる。

「うん。だめ?」

「え…いや…別に。でも、バレたら…」

「そん時は何とかするから心配しないで!」
 
まぁ、着いてくるだけならいいかなと思い、華鈴を誘ってみる事にした。

「よし、じゃあ自分で誘いに行けよ。」

「うん。頑張る。」