策士な外交官は計画的執愛で契約妻をこの手に堕とす


(今日が、初夜……ってことになるんだよね?)

トントン拍子に入籍したため、結婚式についてはこれからゆっくり考えようと伊織に言われている。

なんとなく『初夜』といえば結婚式当日の夜のイメージがあるけれど、自分たちにとっては婚姻届を提出した今日がその日に相当するのだろうか。

自分が初めて恋をした人と結ばれ、可愛い子供がほしい。

兄夫婦の元に甥っ子が生まれてからはそんな願望が芽生えたけれど、いざこうして結婚して初夜を迎えようとしている今、経験のなさゆえにどうすればいいのかわからず硬直していた。

「千鶴」
「ふぁいっ?!」

交代でお風呂を済ませ、眠る前のゆったりとしたひととき。