策士な外交官は計画的執愛で契約妻をこの手に堕とす


「いつどこで知り合ったのか、色々聞かれたから、半年前のあれこれを説明しているんだ」
「説明って……」
「千鶴と運命的に出会った場面から、どういうところに惹かれたのかまで。もちろん、千鶴の魅力は言葉に表せるものだけじゃないけど」

先ほどまでの紳士的なエスコートとは違い、ぎゅっと腰を抱き寄せられた。まさかそんなところに手がかかるとは思わず、かぁっと顔が熱くなる。

「そういう照れ屋なところも、めちゃくちゃ可愛い」

伊織がくすっと笑いながら耳元で囁いたかと思うと、フランス語でエリックになにか告げた。

(まさか、今のセリフをエリックさんにも言ったの?)

彼につけ入る隙を与えないため本物の婚約者のように振る舞っているのは承知しているし、このままエリックが自分から興味を失ってくれればいいと願っている。

けれど想定以上の密着具合に、千鶴は本気で照れてしまって演技どころではない。