策士な外交官は計画的執愛で契約妻をこの手に堕とす


デコルテラインを美しく見せるオフショルダーのドレープが華やかさを演出しており、袖の部分は透け感のある素材だが、身頃やスカート部分は光沢のある生地で高級感がある。ウエストの絞られたマーメイドラインが女性らしいラインを際立たせてくれた。

靴やバッグも合わせてコーディネートしたあとにヘアメイクまで整えてもらうと、鏡に映る自分はまるで別人のようだ。

「うん、いいわね。姿勢がいいからドレスがとても映えるわ」
「すごい……。本当に魔法みたい」
「あら、千鶴さんまで私を魔女扱い?」

カラっと笑う奈津子に、千鶴は首を振った。

「悪い魔女ではなくて、シンデレラに出てくる優しい魔法使いです。こんなに素敵に変身させてくださってありがとうございます」
「そりゃあ、大切な孫が初めて連れてきてくれた女性だもの。私も張り切っちゃうわ」
「えっ!」

思いがけない発言に、千鶴は硬直した。

「意外だった? フランスに赴任している三年だけじゃなく、日本にいる頃だって恋人を紹介してくれたことがないの。いくら仕事が忙しいからって、伊織もいい年でしょう? そろそろ素敵な女性と幸せになってほしいって思っていたのよ」

千鶴を変身させている時の真剣な眼差しから、孫を思う優しい祖母の顔になった奈津子を見て、いたたまれない気持ちになった。