策士な外交官は計画的執愛で契約妻をこの手に堕とす


けれど今の言い方では、伊織も一緒に行こうとしているように聞こえる。

「あの、西澤さんも一緒に……ですか?」
「あ、悪い。嫌だった?」
「まさか! 嫌なんてとんでもないです。でも、どうして……」

彼はフランスに三年ほど住んでると話していたし、名所と言われる場所なら何度も訪れていそうなのに。

千鶴が首をかしげると、伊織はニッと口の端を上げて笑った。

「さっきみたいに夢中になってエッフェル塔の写真を撮ってたら、帰る頃には財布はないよ。だから、俺が隣で番犬役をしようと思って」
「えっ? そんなご迷惑はかけられません」
「さっき約束しただろ? なにかあっても俺が守るって」

カフェに入る直前の会話を思い出し、千鶴は動揺してしまう。

「えっと、あの……」
「っていうのはただの口実で、本当は君ともう少し一緒にいたいと思ったから」

彼はさらりとそう言った。