身に余る賛辞と蕩けるような眼差しに、頬が熱くなる。
「千鶴の大切な場所を守る手伝いができてよかった」
「また伊織さんに助けられちゃいましたね」
「妻を守るのは、夫の特権だからね。それから――」
ニッと口の端を上げた伊織は、千鶴の持っていたティーカップを取り上げてサイドテーブルに置くと、そのままソファへと押し倒す。
「い、伊織さん?」
「甘やかされるのも悪くないけど、俺は甘やかす方がいいな」
そう言って千鶴に覆いかぶさり、額に軽い口づけを落とす。額だけでなく目元や頬にも唇を寄せられ、くすぐったさに身を捩ると、今度は唇をぺろりと舐められた。
「んっ……」
柔らかく重なった唇から、するりと舌が入り込んでくる。何度も角度を変えては貪られ、痺れるような心地よさが全身を駆け抜けた。舌先で上顎や歯列、頬の裏側を探られると、すぐに身体から力が抜けてしまう。
大きな手が意味ありげに全身を撫で、服の上から胸の膨らみをそっと包み込む。やわやわと感触を楽しむように触れられるだけで甘い痺れに襲われた。
「んっ、伊織さん、待ってください。あの、ここで……?」
呼吸も思考も乱れてくる寸前でトントンと伊織の胸をたたき、息も絶え絶えに問いかけた。



