「伊織さん、大丈夫だから」
「千鶴?」
「十分、大切にしてもらってるのは伝わってます。だから、伊織さんも気持ちよくなって」
そう伝えると、彼は「はぁぁ……っ」と大きくため息をつく。
「ここにきて、まだ理性を試されるとは思ってなかった」
「え?」
「次は、覚えておけよ」
物騒な物言いとは裏腹に、伊織は最後まで優しく丁寧に抱いてくれた。
痛みを感じたのは一瞬で、それ以降に与えられたのは頭が真っ白になるほどの快感と、溢れるくらいの愛情だけ。
千鶴は怖いくらいの愉悦と幸福感に涙を零しながら、そのすべてを受け止めたのだった。



