策士な外交官は計画的執愛で契約妻をこの手に堕とす


千鶴はギクリと身を硬くした。

「ダニエルさんが店に来たって、どうして……」
「彼は公人だから、ある程度の情報は耳に届くよ」

そういうものなのかと納得する千鶴に、伊織は再度「なにかあった?」と尋ねた。

「ダニエルさんになにか言われたわけではないんです。むしろ……」

恵梨香の話をすべきか迷ったが、自分で対処できなかった挙げ句、客であるダニエルに助けられてしまったのが情けなくて口が重くなる。

千鶴が答えられずに俯くと、伊織は無理に聞き出そうとはせず、そっと肩を抱き寄せた。

「千鶴の質問に対する答えは『NO』だよ。レセプションに同伴してもらう機会はこれからもあると思うけど、失礼のない振る舞いができればそれで十分だ」