策士な外交官は計画的執愛で契約妻をこの手に堕とす


『外交官の妻になったのに社交場にも出ないで実家の手伝いをしているなんて、恥ずかしいと思わないの? 夫の立場や仕事を理解できない妻なんて、単なる役立たずじゃない』

『役立たず』という言葉が頭から離れず、帰宅してからもずっと考え込んだままソファで膝を抱えていた。

(たしかに妻としての役割なんて、なにひとつ果たしてない……)

恵梨香に毅然と対応できなかったのは、その負い目も原因のひとつだった。

伊織と結婚してもうすぐ一ヶ月。彼は優しい夫だけど、〝本当の夫婦〟にはなれていない。

土曜日の夜は必ず伊織からのキスを合図に夫婦の時間が始まるのは、結婚当初から変わらず暗黙の了解だ。

千鶴は週末が近づくたびにそわそわして落ち着かなくなり、土曜日になると『今日こそ最後までするかもしれない』と、いつもよりも丁寧に身体を清めている。