「その辺にしてくれないかな。せっかくの料理が台なしだ」
声を上げたのは、カウンターに座るダニエルだった。
「先ほどから見ていたが、あなたは彼女に対して態度が悪すぎるし、今の発言はひどく侮辱している。それに料理をひっくり返したのも、僕にはあなたがわざと彼女の手元にぶつかったように見えたね」
「言いがかりだわ! 関係ないのに口を挟まないで!」
恵梨香はダニエルを覚えていないのか、彼にまで喧嘩腰で怒鳴りつける。
慌てた千鶴に対しダニエルは大丈夫だと言わんばかりに微笑むと、恵梨香に厳しい視線を向ける。
「店側が言うと角が立つだろうけど、僕は客だからね。率直に言わせてもらえば、客が店を選ぶように、店にも客を選ぶ権利がある。あなたはこの素晴らしい店にそぐわない」
そう言って、彼は店内を見回した。
「きっと僕だけじゃなく、この店を愛するすべての人が同じ思いだろうね」



