「どうしてもまたここの料理が食べたくてね。貸切もゆっくりできてよかったが、普段の雰囲気も見てみたかったんだ」
ダニエルにお茶目な笑顔でそう言われ、出迎えた母も千鶴も思わず笑みが零れた。
(一緒に来てないってことは、今度こそ私に興味を失ったのかも)
千鶴はそう結論付け、こっそり安堵のため息をつく。
「そう言っていただけて光栄です。では、せっかくですのでカウンターのお席にどうぞ」
ダニエルは喜々としてカウンターに座り、早速酒と料理を選び始めた。
「今日は旬の鰤が入りましたので、ぶりしゃぶをご用意しました」
メインの鍋を出すと、ダニエルがはしゃいだ声をあげる。
「しゃぶしゃぶ! いいね、初めてだよ」
「一枚ずつ出汁にくぐらせて、表面が白っぽく中がほんのりピンク色になった時が食べ頃です。一度お見せしましょうか?」
「うん、お願いしようかな」



