策士な外交官は計画的執愛で契約妻をこの手に堕とす


翌日の日曜日、今夜こそはと夫婦の寝室へ向かったけれど、キスをして抱きしめ合って眠るだけだった。

疑問が顔に出た千鶴だったが、彼から『休みの前日の方が、思いっきり千鶴に触れられるから』と耳元で囁かれ、すぐにその意味合いに思い至った。初めては痛いと聞くし、慣れない快感に意識を飛ばした前科もある。

千鶴が真っ赤になって頷くと、伊織は意味深な笑顔を浮かべていた。

そして翌週の土曜日。ふたりで出かけたものの、夕方には落ち着かない気分だった。今夜いよいよ抱かれるのだと考えてしまい、どうしてもそわそわしてしまう。

けれど結局、その夜も伊織は千鶴にとろけるような快楽を与えるだけで、彼と繋がることはなかった。それは昨夜も同じ。

週末が来るたびに緊張と期待が高まり、伊織からのキスを合図に夫婦の濃密な時間が始まる。千鶴に触れる彼の手は優しく、こちらを見つめる眼差しは情欲に濡れているように感じられた。

それなのに伊織は一線を越えようとはしない。

千鶴は不思議に思いつつも、自分から先をねだるなんてできなかった。