彼自身も仕事が忙しいにもかかわらず休日にはこうして夫婦でデートの時間を作り、新しい服を着た時や髪を切った時はもちろん、何気ない瞬間にも『可愛い』と手放しで褒めてくれる。
なにかと千鶴にプレゼントをしたがったり、独占欲のようなものを垣間見せるような発言をしたりもする。
あまりの甘さに、もしかしたら本当に愛されてプロポーズされたのではと錯覚してしまうほど、伊織から大切にされていると思う。
けれど、千鶴にはひとつの心配事があった。
それは初夜からずっと抱いている、誰にも言えない悩み。伊織本人にも聞けない疑問。
(最後までしてくれないのは、どうしてなんだろう……)
引っ越しをして婚姻届を出したのは、二週間前の土曜日。
その日の夜、伊織は千鶴を抱えて夫婦の寝室へ向かい、何度も何度もキスを交わした。経験のない千鶴を気遣いながら素肌に触れ、初めての快感を教えてくれた。
千鶴がそのまま眠るという失態を犯してしまったため、その夜はそれだけで終わり。



