策士な外交官は計画的執愛で契約妻をこの手に堕とす


「そ、そうですか?」
「なんとなく、恋愛映画の方が好きそうかなって」

今回伊織を誘ったのは『真意一到』というサスペンス・アクション映画。主人公の男性は過去に警察官だった兄を何者かに殺されてしまい、復讐する機会を窺っているという設定だ。

伊織の言う通り、普段千鶴が観る映画の趣味とは違う。この作品を選んだのは、以前彼が『ミステリーやアクション映画が好き』と言っていたのを思い出したからだった。

「もしかして、俺の趣味に合わせてくれた?」

どうやら伊織にはお見通しらしい。けれど、千鶴は首を振った。

「私も観てみたかったんです。バイクと車のカーチェイスシーンが圧巻だったって、兄も言ってました」

復讐や殺し屋など物騒なワードが並んでいるものの、今年一番の話題作という呼び声が高く、先週観たという兄の興奮気味な感想を聞いて気になったというのも本当だ。

「ありがとう」