「あっ、だめ、だめ……!」
彼女の中が伊織の指をきゅっと食い締める。一番反応のよかった部分を執拗に擦り、そのまま高みへと導いた。
ぎゅうっと伊織にしがみつきながら達した千鶴は、そのまま目を閉じてくったりと脱力してしまう。
「……千鶴?」
赤い目元を指先で撫でてみても、彼女は身動ぎするだけで目覚めそうにない。
伊織はクスッと笑って手早くパジャマを整えてやると、千鶴の華奢な身体を抱き寄せて横たわった。
妻となった千鶴の寝顔は、たまらなく可愛い。達したばかりの余韻もあって頬は上気して赤く染まり、男の欲をそそる。
寝落ちされたのは残念ではあるが、今日は元々これ以上進むつもりはなかった。
(俺の愛を正面から素直に受け取ってくれた時に、君の全部をもらうから)
パリで千鶴と別れた翌日、支払いのために伊織がひとりで奈津子の店へ行くと、『あら、振られてしまったの?』と笑われた。
傷心の孫に容赦のない茶々を入れる祖母に、礼とともに宣言してきたのだ。『必ず彼女を手に入れる』と。
伊織はくうくうと寝息を立てる愛しい妻の髪を撫でながら、頭のてっぺんにキスを落とした。



